訪問看護 Sさん

先輩看護師のとっておき看護
想いに寄り添う、終末期の看取り看護
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2025.07.09

訪問看護 Sさん 訪問看護

私が大切にしているとっておき看護は、終末期の看取り看護です。終末期と言っても、人によって状況は異なりますし、気持ちの揺らぎもあります。そのような中で、意思決定支援に関わることはとても重要な役割だと感じています。

訪問看護では終末期の看護に関わることが多く、なかでもがんの末期や難病・脳血管疾患を患っている患者さんと関わることが多くありました。「最期は自宅で過ごしたい」「子供たちが家で看取りたい」という患者さんに対して、排便コントロールや吸引、人工呼吸器管理、褥瘡ケア、カテーテル管理などの直接ケアはもちろんのこと、在宅で生活をしながら療養する患者・家族への精神的な関わりも行っています。そのような中で、『意思決定支援』に関わる場面がとても多く、一度決定したことでも、患者や家族の気持ちの揺らぎがあることも理解しながら、『最期をどう過ごしたいか』を丁寧にくみ取れるように心がけています。

私が関わった患者さんの中で、80代男性、肺がんの終末期患者を看取ったケースを紹介します。患者さんは化学療法を受けていましたが、治療を終了し、妻より「家で看取りたい」との申し出があり、訪問看護を導入することになりました。始めは妻がほとんど一人で介護をしていましたが、妻自身も体調が悪く通院をしており、いつ入院をしてもおかしくはない状況でした。息子さんは同居していたものの、介護には積極的に介入する様子はありませんでしたが、訪問看護師としては、本人や妻の「在宅で看取りたい」という気持ちに寄り添いながら、必要なことは何度も説明をしたり、往診医やケアマネージャーとの連携を図りながらできることを考えて介入していました。徐々にトイレ後に立てなくなるなどADLの低下がみられるようになり、その頃から息子さんも手助けをしてくれるようになりました。亡くなる前には髭剃りをしたり、患者の元に来て体を起こしてくれるなど、介護を担うことが増えていきました。亡くなる時には、息子さんも会社を休み、家族で穏やかな看取りができたことが印象に残っています。

訪問看護をしていると、様々な患者さんや家族と出会います。なかには、金銭的理由で入院加療ではなく在宅療養を希望される方も多く、病状によっては入院加療を勧めたり、訪問看護の回数を増やすことや、必要な処置やケアについて提案することもありますが、それらを断られるケースも少なくはないです。しかし、そのような時にも普段から信頼関係を構築することで、タイミングを逃さずに介入できるケースもあります。

患者さんや家族が本当に望んでいる意思決定支援をするためにも、寄り添いながら、必要なことは理解されるまで説明をするように心がけています。また、病状の変化に合わせて患者さんや家族の気持ちは揺らぐことが沢山あります。そのような時に、変化に気が付くことができることはその後の支援内容を考えていくためにもとても重要です。様々な場面で伝えるタイミングが重要であること、そのタイミングを逃さないようにすることも大切にしています。

訪問看護をしている中で、患者さんや家族に深くかかわれることは私のやりがいにつながっています。特に、終末期の患者さんとの関わりは私にとってかけがえのない経験となっています。これからも、私の大切にしている看護を実践していきたいと思います。